同業者からも頼りに…赤坂・高級個室サウナ火災で30代夫婦死亡…夫の知人が語った人柄 現場に残された“謎”

東京・赤坂の高級個室サウナで発生した火災で、30代の夫婦が命を落とす衝撃的な事故があった。12月15日、都内で人気の美容院経営者である松田政也さん(36)と、ネイリストの妻・陽子さん(37)が、サウナ室の入口近くで無残にも倒れているのが発見され、死亡が確認された。現場は、「大人の隠れ家」として知られる完全個室のプライベートサウナであり、その高い安全性だけが期待されていた背景を持つ。

消防の調査によれば、松田夫妻が利用していたサウナ室の座席や壁部分に火が回り、火災が発生したと思われる。亡くなった松田さんについて、知人は「非常に勉強熱心で、素直な性格。多くの人と交流を持ち、技術を磨き続けていた」と語っている。彼は業界内でも人望が厚く、他の美容師からも頼りにされる存在だったとされる。

そして火災が起きたその時間、松田さんはサウナを愛する人物としても知られていた。知人によると、彼は日々様々なサウナ施設を利用し、時にはビジネスの打ち合わせをサウナで行うこともあったという。そのため、この突然の事故は周囲に衝撃をもたらしている。

現場に戻ると、サウナ室の入り口には透明なガラス戸とL字型の木製ドアノブが確認された。しかし、警察の調査によれば、このドアノブは内側と外側の両方から外れており、床に落ちている状態だった。このため、松田夫妻はドアを開けられず、逃げ場所を失った可能性が高いとのことだ。

具体的な死因については、元深谷市消防本部消防長の田中章氏が「気密性の高いサウナの中で、熱中症または一酸化炭素中毒が考えられる」と指摘している。さらに、サウナ室内の非常用ボタンには押された形跡があったとされるが、そのボタンが正常に作動したかどうかは依然不明だ。

一般的な個室サウナでは、どのような安全対策が講じられているのだろうか。川崎市にあるサウナ店「ロウリューランド川崎」の三枝祥栄店長によると、通常は外から掴みやすい取っ手があり、内側からは押すと開く仕組みになっている。万が一の火災に備えて、全室に火災報知器が設置され、非常ボタンも手が届く場所に配置されているという。これにより、迅速に現場から脱出することが可能であり、今回の事故に対する疑問が深まる一因である。

火災が起きた東京・赤坂のサウナ店は、公式サイトを通じて「尊い命が失われたことを重く受け止め、深くおわび申し上げます」とコメントしている。そして、警察はこの火災を過失か故意か、事件と事故の両面から調査を進めている。

松田夫妻の悲劇的な死は、今後のサウナ業界や安全対策の見直しを促すきっかけとなるのか。一体、何がこのような火災を引き起こしたのか、事故の詳細は明らかにされていないが、この事件は多くの人々に警鐘を鳴らすものであることは間違いない。