またイワシが犯人 – 養殖トラウトサーモン約5000匹が全滅 イワシの大群が漁港に入り”酸欠”か

2023年12月17日、北海道南部の上ノ国町で衝撃的な事件が発生しました。養殖していたトラウトサーモン約5000匹が、全て死滅しているのが発見され、漁業関係者たちの間に動揺が広がっています。原因は、漁港に押し寄せたイワシの大群による酸素濃度の低下であると考えられており、これは漁業界に新たな脅威をもたらす事態です。

この事件は、上ノ国漁港大崎地区で朝のエサやり時に発見されました。そこで漁業者が、いけすにいるはずのトラウトサーモンが全て死亡していることを確認しました。専門家によると、イワシなどの魚が集まることで生じる呼吸活動が水中の酸素を大量に消費し、結果として養殖魚が酸欠の状態に陥ったとされています。実際、漁港内の酸素濃度を測定した結果、通常の半分以下に減少していたことが明らかになりました。

この養殖事業は、2025年から開始される計画の一環であり、11月20日に幼魚が放流されていました。漁港内にまずいけすを設置し、初期の段階ではアワビなどのグラヌーレ養殖へと移行する予定でした。町からの補助金で運営されているこのプロジェクトは、初期投資が2650万円ほどとされており、2026年には水揚げを見込んでいましたが、今回の全滅によりその見通しは暗雲に包まれています。売り上げはおおよそ1000万円を見込んでいたと報告されています。

12月14日にも、近隣のせたな町において、久遠漁港でのおなじような事故が発生し、6600匹のトラウトサーモンが死亡していることが確認されています。これが単なる偶然なのか、それとも水域全体に潜む深刻な生態系の問題なのか、専門家たちは必死に検証を進めています。

水中の酸素濃度の低下は、特に養殖業にとって死活問題であり、今後の対応が急がれます。漁業者たちにとっては、全ての魚を回収し、死んだ魚は飼料向けとして出荷されましたが、この損失は彼らの生活に深刻な影響を与えることでしょう。地域経済への影響も甚大であり、今後の養殖業はこの事態からどのように立ち直るのか、非常に不透明な状況にあります。

報道が進む中で、さらなる情報が待たれます。科学者たちは、漁港の環境を調査し、今後のイワシの動向やその影響についても注視しています。この事件がどのように地域の漁業や生態系に影響を及ぼすのか、そして同様の事例が今後発生しないための対策が求められています。この危機を抱える上ノ国町で、漁業者たちが果たして再生できるのか、今後の動きに注目です。