
電話の中で、男は「あなた名義の銀行口座が特殊詐欺に利用されている」と語り、さらには「逮捕状が出ている」と衝撃の一言を発した。この発言だけでなく、驚くべきことに、加用さんの個人情報までが流出しており、その詳細に言及されたことは、まさに衝撃であった。
加用さんは「逮捕状には私の名前、住所、生年月日が明記されていた」と驚き、電話の信憑性を問うことすらできなかった。電話の相手は、ビデオ通話に切り替えさせ、警察手帳を見せることで信頼を醸し出し、あたかも法律の権威であるかのように振る舞っていた。信じ難い状況に、加用さんは「これが本当に詐欺なのだろうか」と自問自答を繰り返していた。
その後、男からは「不正に開設された口座にあなたの情報が用いられた」と説明され、加用さんは「一体どうすればいいか」と考え混乱を極めた。「あたなのために全てを取り計るので、指定口座に現金を振り込んでほしい」との要求が続く中で、加用さんは警察官を名乗る男の言葉に耳を傾け、ついには「修繕費用」の名目で振り込みを進めようとしていた。
だが、彼の弁護士からの「電話を切っても構わない」という一言が、彼を冷静にさせた。「これはおかしい」と気づいた彼が電話を切った直後、男から送られてきた逮捕状とLINEのアカウントは全て削除されており、その時点で初めて加用さんは詐欺だったことを悟った。
この経験を経て、加用さんは寺の掲示板に「時には疑うことが大切だ」というメッセージを掲げた。彼は「信じることは美徳だが、信じすぎてはいけない。疑うことも時には必要だ」と訴え、信者や地域社会への警鐘を鳴らしている。
広島県内での特殊詐欺の被害は、先月末時点で19億5500万円と、過去最悪のペースで推移しており、特に警察官を名乗る人物から被害が多発。全体の約70パーセントを占める被害は、急増している警察庁への通報によって、今後の対策が急務と思われる。
このような詐欺行為がはびこる中で、一般市民が安全に生活できる環境を整えるためには、さらなる警戒が必要だろう。この事件を受けて、すべての市民が詐欺の手口を理解し、警察や関係機関に通報することが求められている。信じるということの裏には、常に疑念を持つことの重要性が存在することを、忘れないでほしい。