
博多警察署によると、この女性は8月12日、自宅の固定電話にかかってきた電話で「保険局調査課」の職員を名乗る男から、「沖縄県のクリニックであなた名義の保険証が不正利用されています」と告げられました。次いで、彼は「被害届を出す必要があるので那覇警察署につなぎます」と続け、電話はすぐに沖縄県那覇警察署を名乗る男に交代しました。この時点で彼女はすでに巧妙に仕組まれた詐欺の中に引き込まれていました。
この詐欺師は、女性に対して「投資詐欺の犯人を逮捕しているが、あなたの名義の口座が見つかった」と主張しました。「あなたには逮捕状が出ており、今から捜査を受けてもらわなければならない」と言われた彼女は、恐怖心に駆られました。続いて、検察庁の検事を名乗る男からも連絡があり、「あなたは詐欺罪などになり、関わっていれば懲役8年になる」と脅されました。
このような言葉に従った女性は、8月27日から9月21日までの間に、計8回にわたって3430万円相当の暗号資産を購入し、その資産を指定されたアドレスに送金してしまったのです。この間、彼女は自分が法的な問題に巻き込まれているという誤認を抱え続け、急速に状況が悪化していく様子が明らかになっています。
警察はこの事件をニセ電話詐欺事件として捜査していますが、同時にこんな注意喚起を行っています。「国際電話番号を悪用したニセ電話詐欺が発生しているので、海外との電話が不要な方は、発着信を無償で休止できる国際電話不取扱受付センターのサービスを利用しましょう」。また、警察官が「SNSで事件の内容を伝えること」や「捜査のためにお金を送金させること」は絶対にないと強調しています。
私たち市民は、今こそ警戒を強めるべき時です。「資金洗浄」「逮捕状」「犯人を逮捕したら…」といった言葉が出てきた場合は直ちに電話を切るべきです。この女性の痛ましい体験は、決して他人事ではありません。詐欺師たちはテクノロジーを駆使し、私たちを欺くために常に新たな手段を模索しています。
福岡市でのこの事件は、私たち自身が何を信じ、どのような判断を下すかが命運を分けることを教えてくれます。SNSや電話を介した詐欺がますます巧妙化している今、私たちひとりひとりがこの新たな危険にどう立ち向かうかが、重要な課題です。福岡市での出来事を教訓に、今後の詐欺被害を未然に防ぐための注意喚起が必要です。このような事件が市民の生活に脅威をもたらさないよう、警察や行政とともに私たちも積極的に行動しましょう。